はじめに

現在、日本で走っている路線バスは

この4メーカーのバスが大半を占めています。
そして最近のバスは業界再編により、いすゞ&日野(ジェイ・バス)系、ふそう&UD系のものに分かれています。

以下、いすゞ自動車を「いすゞ」、日野自動車を「日野」、三菱ふそうを「ふそう」、日産ディーゼルを「日デ」もしくは「UD」と表記します。

バスの基礎知識

本題に入る前に、バスの基礎知識をちょっとだけ説明します。
別にここは読み飛ばしても支障ないのですが、バス車両のことを理解するためには知って損はない知識だと思います。

バスの構造は、大雑把に言うとボディー(車体)とシャーシ(走行機器)の二つに分かれています。
上記4メーカー(+大昔はトヨタ自動車や日産自動車も)の作ったシャーシに、コーチビルダー(車体メーカー)の作ったボディーを合体(架装)してバスが出来上がるというわけです。

バスの黎明期は、シャーシにボディーを文字通り「載せた」フレーム構造が長く用いられていました。
その頃はバス用のシャーシがあったわけではなく、トラック用のシャーシへ荷台のかわりにバス車体が架装されていたようです。

戦後になると、航空機の構造を応用した「モノコック構造」が登場してきました。
ボディーとシャーシを一体の構造にして、全体で強度を保つ構造(卵の殻によく例えられます)になっており、この構造のバスが戦後しばらくの間主流となっています。
皆様が懐かしいバス・昔のバスとしてイメージするであろう、丸っこい形のバスです。

昭和52年、日野の「RS」というバスが現れました。このバスは、角張った近代的な車体に大きい窓の軽快な装いで、モノコックの丸っこい形ばかりだったバス業界に衝撃を与えました。
RSは、日本で初めて「スケルトン構造」を採用したバスでした。
スケルトン構造は、骨格を鋼材で組み立てて作り、外板で覆う構造(鳥かごに例えられます)となっています。外板の配置にあまり制限がないことからデザインの自由度も高く、これが現在に至るまでバスの構造の主流となっています。

現在の日本で走っているバスの大半は先述の4メーカーのものですが、そのうちいすゞ・日野・ふそうはそれぞれ指定のコーチビルダーを子会社化して関係を強化していました。
しかし、日デは特定のコーチビルダーを子会社化せず、富士重工(主に東日本)・西日本車体工業(主に西日本)の2社にシャーシを納入していました。
そのため、近年の日本のバス車体の大半は5社によって作られていたことになります。

その後、バス製造台数の減少から業界再編が進みました。
2003年に富士重工はバス車体架装から撤退し、以降の日デ車はすべて西日本車体工業で架装されることとなりました。
しかし2010年、UDのバスが全車種ふそうのOEM車となったために西工が解散。(その後のOEM供給の取りやめにより、現在のUDはバスを販売していません)
現在はジェイ・バス(J-BUS:いすゞ&日野指定メーカー)と三菱ふそうバス製造(MFBM:ふそう指定メーカー)の2社がバスを製造しています。

シャーシには必ずしも指定メーカーの車体のみを架装したわけではなく、例えば日野のシャーシに西工車体といった組み合わせも数は少ないながら普通に存在します。

見分けてみる

ようやく本題です。
ここでは、上記4メーカーのスケルトン大型・中型路線バスの見分け方を簡単に説明していきます。

まずは、車体の種類を覚えるところから始めましょう。
車体を覚えてしまえばシャーシの見分け方もなんとなく分かってきます。

バスを(顔から)見分ける

いすゞ大型:キュービック
いすゞ中型:ジャーニー
日野大型:ブルーリボン
日野中型:レインボー
J-BUS大型:いすゞ・エルガ/日野・ブルーリボンⅡ
J-BUS中型:いすゞ・エルガミオ/日野・レインボーⅡ
ふそう大型:エアロスター
ふそう中型:エアロミディ
ふそう大型:ふそう・ニューエアロスター/日デ・スペースランナーA
富士大型:7E
富士大型:新7E
富士中型:8E
富士大型:5E
富士中型:6E
西工:96MC/日デ・スペースランナーRA/ふそう・エアロスター-Sなど
西工:58MC

ジェイ・バス系(いすゞ・日野)

2004年にいすゞと日野のバス事業が統合され、両社が合弁で設立したジェイ・バス株式会社が両社のバスを製造しています。

いすゞ大型:キュービック


これは、いすゞの「キュービック」と呼ばれているバスです。
キュービックの特徴は、なんといってもこの縦長のセーフティウィンドウ。
2000年にエルガにフルモデルチェンジされ、生産終了しました。

いすゞ中型:ジャーニー


これは、いすゞの「ジャーニー」と呼ばれているバスです。ジャーニーにも色々種類があり、中型バスには「ジャーニーK」という名前が付いています。
中型バス全般に言える特徴ですが幅が大型バスと比べて狭く、長さも短くタイヤも小さいなど大型バスより一回り小さく作られています。
バンパー周りのデザインにキュービックっぽさが現れていますね。
1999年、エルガミオにフルモデルチェンジされ、キュービックより一足先に生産終了しました。

日野大型:ブルーリボン


これは、日野の「ブルーリボン」と呼ばれているバスです。


四角いライトのブルーリボンもあります。今はこっちの方がよく見かけるタイプかもしれません。


ブルーリボンは2000年に、「ブルーリボンシティ」と呼ばれる車体へとマイナーチェンジ。前面形状が大幅に変わりました。
のちにブルーリボンIIに役目を譲り、ハイブリッド車のみのモデルとなりましたが、2015年のフルモデルチェンジの際にハイブリッド車も新型ブルーリボンとなりました。

日野中型:レインボー


これは、日野の「レインボー」と呼ばれているバスです。2004年、レインボーIIに置き換えられる形で生産終了しました。


レインボーのノンステップ車は「レインボーHR」と呼ばれています。ライトの形状も微妙に変わっていますね。
こちらは2010年まで製造されていました。
10.5m車はいすゞにOEM供給されており「エルガJ」の名称で販売されていました。

J-BUS大型:いすゞ・エルガ/日野・ブルーリボンⅡ、ブルーリボン


これは、いすゞの「エルガ」と呼ばれているバスです。現在最も見かける機会の多いバスかもしれません。
2000年にキュービックの後継車種としてフルモデルチェンジされました。2015年にフルモデルチェンジし、現在は送迎用などのツーステップ車やハイブリッド車に限って生産が続いています。
また、日野の「ブルーリボンⅡ」も2004年から2007年までは全く同じ見た目で生産されていました。


エルガは2015年にフルモデルチェンジを行い、外見では主に顔つきが変わりました。日野との統合車種なのは変わりありませんが、再び見た目が同一となりステッカーやステアリング等のメーカーロゴでしか判別できなくなりました。
また路線用ワンステップ車が廃止され、路線用ノンステップ車のみのラインナップとなりました。


これは、日野の「ブルーリボンⅡ(ぶるーりぼんつー)」と呼ばれているバスです。いすゞエルガとの統合車種となっており、見た目はほぼ一緒です。
2004年にエルガのOEM供給車として登場し、2005年からは統合車種となって2015年まで生産されていました。
エルガと全く同じ見た目で生産されていたため、HINOのロゴなどがないと外見では判別できませんでした。しかし2007年以降に生産された車の場合、ライトが左右1灯ずつになっていればブルーリボンⅡと判断できます。


2015年のフルモデルチェンジで、車名からⅡが取れ「ブルーリボン」の名前が久しぶりに復活しました。いすゞとの統合車種なのは変わりありませんが、再び見た目が同一となりステッカーやステアリング等のメーカーロゴでしか判別できなくなりました。
路線用ワンステップ車が廃止され、路線用ノンステップ車のみのラインナップとなったのもいすゞと同様です。
また、今回から日野に限りハイブリッド車も同じボディで生産されています。

J-BUS中型:いすゞ・エルガミオ/日野・レインボーⅡ


これは、いすゞの「エルガミオ」と呼ばれているバスです。
1999年にジャーニーからフルモデルチェンジされ、現在まで生産されています。


これは、日野の「レインボーⅡ」と呼ばれているバスです。2004年にエルガミオのOEM供給車として登場し、2007年からは統合車種となって生産されています。
統合車種となった2007年以降の生産車はブルーリボンⅡと同様にライトの形で判別できますが、それ以前の車はエルガミオそのものの外見です。

三菱ふそう系(ふそう・日デ)

2007年より両社のバスが相互にOEM供給され、2009年には両社のバス事業を統合した合弁会社の設立協議が始まっていました。
しかし、2010年に合併協議は終了し(事実上の決裂?)OEM供給も取りやめになりました。
西工の解散以降、ふそうのOEM供給車のみを販売していたUDは現在バスを販売しておらず、このままではバス事業からの撤退も考えられます。

ふそう大型:エアロスター


これは、ふそうの「エアロスターM」と呼ばれているバスです。三菱自動車工業製の車体で、後に呉羽もエアロスターMを架装しています。
1996年、ニューエアロスターにモデルチェンジされ生産終了しました。


これは、ふそうの「エアロスターK」と呼ばれているバスです。呉羽製の車体で、エアロスターMと併売され1993年まで製造されていました。

ふそう中型:エアロミディ


これは、ふそうの「エアロミディ」と呼ばれているバスです。マイナーチェンジを繰り返しつつ、2007年まで製造されていました。


1993年より、この顔で生産されています。


初期のエアロミディは、エアロスターKに近い車体を架装していました。

ふそう大型:ふそう・ニューエアロスター/日デ・スペースランナーA


これは、ふそうの「ニューエアロスター」と呼ばれているバスです。1996年から現在に至るまで製造されています。
ニューエアロスターというのは初期の名称で、現在は単にエアロスターという名称となっています。
ワンステップ車は2007年より日デへのOEM供給がなされ、「スペースランナーA」の名称で2010年まで販売されていました。
両者の違いは全くと言っていいほどなく、車体にふそうやUDのマークが無い場合はステアリング(ハンドル)のメーカーロゴで判断するしかありません。


エアロスターは2014年にモデルチェンジし、主にフロントバンパー周りが一新されています。

富士大型:7E


これは、富士重工の「7E」と呼ばれているバスです。1988年から2000年まで製造されていました。
日デ以外ですと、いすゞはそこそこの数が架装されています。日野やふそうも架装されていましたが少数派でした。

富士大型:新7E


これは、富士重工の「新7E」と呼ばれているバスです。2000年から富士重工が撤退する2003年まで製造されていました。
日デ以外ですと、一部にいすゞの架装例があるようです。
7Eから変化した点では、バンパーのライトの配置が一番わかりやすいと思います。

富士中型:8E


これは、富士重工の「8E」と呼ばれているバスです。1990年から富士重工が撤退する2003年まで製造されていました。
日デ以外ですと、一部にいすゞの架装例があるようです。

富士大型:5E


これは、富士重工の「5E」と呼ばれているバスです。1982年から1988年まで製造されていました。
日デ以外ですと、いすゞはそこそこの数が架装されています。日野やふそうも架装されていましたが少数派でした。写真はいすゞシャーシの5Eです。
古いモデルのため、最近はあまり見かけることがない車です。

富士中型:6E


これは、富士重工の「6E」と呼ばれているバスです。5Eをそのまま小さくしたような見た目で、1982年から1995年まで製造されていました。
日デ以外ですと、一部にいすゞの架装例があるようです。日野やふそうの架装例もあるものの、極少数だったようです。
日デは1990年より8Eへ移行したものの、いすゞは移行が遅れたために1995年まで製造されており、地方ではまだまだ現役です。

西工大型:96MC/日デ・スペースランナーRA/ふそう・エアロスター-Sなど


これは、西工の「96MC」と呼ばれているバスです。1996年から西工の解散する2010年まで製造されていました。西工が最後に架装したバスは96MCでした。
日デ以外ですと、いすゞはそこそこの数が架装されています。日野やふそうも架装されていましたが少数派でした。
2005年より、日デ車には「スペースランナーRA」の愛称がつきました。
2007年より、日デのノンステップ車はふそうへのOEM供給がなされ「エアロスター-S」の名称で2010年まで販売されていました。
両者の違いは全くと言っていいほどなく、車体にふそうやUDのマークが無い場合はステアリングの社名ロゴで判断するしかありません。


96MCの路線バスタイプはB型と呼ばれ、前面窓の形状でB-ⅠとB-Ⅱの二種類があります。
前面窓下端が真っ直ぐなのが96MC B-Ⅰ、片方が下がっているのが96MC B-Ⅱです。

西工中型:96MC/日デ・スペースランナーRM/ふそう・エアロミディ-Sなど


西工では、中型車にも大型車と同じデザインのボディを架装していました。中型車はB-Ⅰのみです。
日デ以外ですと、いすゞはそこそこの数が架装されています。日野やふそうも架装されていましたが少数派でした。
2005年ころより、日デ車には「スペースランナーRM」の愛称がつきました。 2008年より、日デの車はふそうへのOEM供給がなされ「エアロミディ-S」の名称で2010年まで販売されていました。
両者の違いは全くと言っていいほどなく、車体にふそうやUDのマークが無い場合はステアリングの社名ロゴで判断するしかありません。
写真はスペースランナーRMですが、エアロミディ-Sの見た目も全く変わりありません。
エアロミディ-S。函館バスの場合車番でメーカーが判別できるのが救いでしょうか。

西工中型:日デオリジナルボディ


これはUDと西工の共同開発により生まれた中型バスで、「日デオリジナルスタイル」と通称されています。
1988年から2003年ころまで発売されていました。

西工大型:58MC


これは、西工の「58MC」と呼ばれているバスです。1983年から1996年まで製造されていました。これにもB-ⅠとB-Ⅱがあります。
日デ以外ですと、いすゞはそこそこの数が架装されています。日野やふそうも架装されていましたが少数派でした。写真はいすゞシャーシの58MC B-Ⅱです。
主に西日本に分布しており、東日本では新車で導入した会社はほとんどありません。
日野ブルーリボンとよく似ていますが、角張っている方向幕部分、ゴツいライト、丸みのある前面などで見分けがつくかと思います。


主に九州を中心に、中型のシャーシにも58MCを架装することがありました。
日デやいすゞはもちろん、極少数日野やふそうも存在したようです。画像は日野RJ(純正車体であればレインボー)に架装されたものです。